生活者一人ひとりの生活課題や家族の課題、その背景にある社会課題が多様化する現代において、生活者のニーズを的確に把握し新たな価値を生み出すため、様々な取り組みを行っているマーケティングDXセンター。今回はその中でも統合マーケティングプラットフォームの開発やマーケティングツールのような、プラナーやクリエイターをサポートするシステムの開発を担う、プロデュース1部の廣田さんと寺川さんに業務のおもしろさや今後の挑戦について話を伺いました。
博報堂テクノロジーズ マーケティングDXセンター
プロデュース1部 廣田 峻
ITコンサルタントとして、システムの設計・開発を経験。
2022年博報堂入社し、博報堂テクノロジーズへ出向。
社内システムのクラウド・ツール管理やプラニングツールの開発・運用などに携わる。
プロデュース1部 寺川 美月
美容、飲食店向け販促システム営業を経験しインフラエンジニアへ。
2023年博報堂テクノロジーズに入社し、マーケティングデータ分析などのシステム開発に携わる。
それぞれの経験を経てテクノロジー x マーケティングの世界へ
まずはおふたりのご経歴を教えてください。
廣田:私は博報堂テクノロジーズ設立前の2022年度に博報堂に入社したのですが、それ以前は5年ほどシステム開発会社で務めていました。クラウドエンジニアやアプリケーションエンジニアとして開発を担当した後、アーキテクトとしてシステムのアーキテクチャの設計を担うようになり、5年間で幅広い経験を積ませてもらいました。
経験が増えるにつれて今後どんな専門性を持ってキャリアを築いていこうかと考えるようになり、大学、大学院のころから興味を持っていたデータやマーケティングといった分野に携わっていくことを決めました。データがおもしろそうな会社を探して、いくつかの広告会社や通信キャリアのグループ会社などを受けるなかで出会ったのが博報堂です。
転職をしようと決めたとき、当時の上司に、どうやったら人の行動を変えられるか、心を動かすことができるか、ということに興味があるという話をしていたのですが、博報堂は面接を受ける中で、まさにその「心を動かす」というキーワードが何度か出てきたことや、生活者発想というフィロソフィーが自分の考え方や志向に合っていると感じ、入社を決めました。
寺川:私は文系の大学出身で、新卒から3年ほどは営業をしていました。飲食店や美容系の店舗で使われる販促ツールの販売をしていたほか、化粧品のマーケティングも一部担当していました。仕事の傍らHTMLやCSSを独学で勉強したり、少しだけ学校に通ったりもしていたので、エンジニアとして転職することを考えたのですが、そのときはインフラエンジニアという職種があることすら知らないような状態でした。
転職活動をする中で、一口にエンジニアと言っても様々な職種があるということを知り、深堀っていく中で、インフラエンジニアという仕事に興味を持ちました。経験がなかったので、研修をしっかり受けた上で経験を積みたいと考え、研修制度が整っている技術者派遣の会社に在籍をしました。
主にオンプレミス環境でインフラの運用保守を2年ほど経験し、その後は別の派遣先で、オンプレミスとクラウドのハイブリット環境で、主にクラウドエンジニアとして業務にあたるようになりました。
派遣で5年経験を積み、長く働けるところでもう少し技術の幅を広げていきたいという思いからインハウスで開発をしている会社への転職を決めました。博報堂テクノロジーズは、新しい分野や技術も積極的に取り入れていて、自分がここで成長したいと思える環境があると感じたところが一番の決め手でした。また、最初の会社での経験から広告やマーケティングには興味があったので、マーケターやクリエイターの方の業務をサポートするようなシステムの開発という部分も魅力でした。
マーケターやクリエイターの仕事を支える、統合マーケティングプラットフォームの開発
おふたりが所属しているプロデュース1部はどのような業務を担当している部署ですか。
廣田:プロデュース1部は、博報堂DYグループ内で使われるツールの開発や社内向けサービスの提供をする部署です。
博報堂DYグループ内には、メディアプラニングのシミュレーションや生活者データ分析、広告出稿分析、広告素材や購買データの分析など、様々なマーケティングにまつわるシステムやデータがあり、現在それらを掛け合わせた新しい統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM(クリエイティビティ エンジン ブルーム)」の開発が始まっています。
「CREATIVITY ENGINE BLOOM」はいくつかのモジュールで構成させているのですが、そのうちストラテジックプラニングをサポートする「STRATEGY BLOOM」の開発を、我々プロデュース1部と研究開発をしているプロデュース3部で協力しながら進めています。その他クリエイティブ業務の効率化や高度化を支援する「CREATIVE BLOOM」についても、今後携わっていく予定です。
CREATIVITY ENGINE BLOOMについて
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2024/06/4841.html
現在のおふたりの業務について教えてください。
廣田:私は「STRATEGY BLOOM」を含む社内向けのツール、システムの開発および運用のマネジメントが一番大きな役割です。その他には、社内の研究部署や本番システム周りのクラウドの管理、膨大なデータを管理するシステムの運営などを行っています。
システム開発の一例として、動画のリサイズが自動でできるAPIの開発を行いました。動画の要素を抽出して自動でトリミングをしたあとに手動で調整がかけられるような機能を搭載しており、TVCM用に横型で作られた動画をSNS用に縦型にリサイズしたいという要望に応えています。
もう一つ、ストラテジックプラナーが使うプラニング支援ツールの刷新も行っています。
博報堂DYホールディングスの研究開発部門であるマーケティング・テクノロジー・センターの方がプロダクトオーナーで、マーケティングDXセンターがシステム開発を担当しています。私はPMの立場として参画しており、開発メンバーとともに開発を回しています。また、インフラの設定変更やシェルスクリプトでのデータ連携プログラムの開発なども担当しています。
寺川:廣田さんがPMを務めるプランニング支援ツールの刷新プロジェクトや、マーケティングDXセンターが担当する開発プロジェクトにおいて、主にインフラ設計、構築、および技術検証を担当しています。
また、API基盤の構成をテンプレート化し、どんな環境でも同じ仕様でつくることができるようにするAPI共通基盤プロジェクトにも入社当初から参加しています。こちらは一旦開発が完了したため、現在は導入のサポートや外部APIの組み込みのための構築を進めています。
今のところはインフラ周りを担当することが多いのですが、先ほどもお話ししたようにスキルの幅を広げていきたいという思いがあるので、PoCの際などにフロントエンドの開発にも少しずつチャレンジしています。それとは別に、認証認可やセキュリティ関連の技術検証にも携わっています。
未知への挑戦が尽きない仕事
これまでの業務で印象的だった案件やできごとはありますか。
寺川:先ほども触れたAPI共通基盤プロジェクトは、数段階の開発過程から運用までのフローを全て経験できた始めての案件として思い入れがあります。
基本的に開発は外部のパートナー企業に委託をしていたのですが、APIの実行回数のカウントやリファレンスのテンプレート化といった追加の要件が発生した際に、内製に切り替えることになりました。その際に、内部の委託メンバーとも協力しながら、自分も手を動かして構築や技術検証、カスタマイズまでやりきれたということが自分にとっては達成感が大きく、印象に残っています。そもそもAPIの開発自体それまでほとんど経験がなかったので、迷うことも多く、同じチームの先輩にもたくさんサポートしていただきました。
廣田:私は元々開発会社にいたところから事業会社にきたので、要件がふわっとしているところから自分たちでどういった構成にするか、どんな機能が必要かなどひとつずつ決めていくという部分が、入社後の新しいチャレンジでした。
RFPをまとめて複数のパートナー企業に声をかけ、提案内容を評価するというプロセスもそれまで経験したことがなかったのですが、色々なところにお願いをするとこんなにも大変なのか、ということを実感しました。
そういったプロセスを経てシステムができあがると、自分が作ったという達成感がより強くなりますし、実際に使ってくれる人の声を聞く機会があるのも嬉しいですね。
今後はどんなことにチャレンジしていきたいですか。
寺川:今は自分で手を動かしていることが多いのですが、将来的にはプロジェクトマネジメントもできるようになりたいと思っています。ただ、そのためにはもう少し業務の幅を広げたり、フロント側の知識を補填したりする必要があるので、今後のチャレンジのために、直近はこれまで経験したことがない領域も含めて業務における担当分野を広げていきたいと思っています。
インフラエンジニアとしては、これから「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の開発が進むにあたって、これまで別々に存在していた異なる構成のシステムを細部まで理解し、課題を抽出、影響範囲を洗い出して統合していくという難易度の高いチャレンジが待っていると思うので、その部分で知見を深めていきたいです。
廣田:チームとしては、内製化への移行も見据えて、よりよい開発のための体制構築やチーム作りに取り組んでいきたいです。品質や効率化ももちろんですが、コミュニケーションの部分も含めて、みんながイキイキと働けるようなチームを目指したいです。「STRATEGY BLOOM」ではアジャイル開発に挑戦していて、現状はパートナー企業の方にスクラムマスターとして立っていただいているのですが、寺川さんも含めてチームメンバーもスクラムマスター研修に参加するなどしながら勉強中です。
個人としては、データエンジニアリングの分野にも興味があるので、データへの理解を一層深めていきたいと思っています。あとは博報堂DYグループという広告事業を展開する会社にいるので、広告業務についての知識も増やしていきたいです。
クリエイティブなアイデアに触れながら成長できる環境
プロデュース1部のメンバーはどんな方が多いですか。
廣田:キャリアとしてはSIer出身の方が一番多く、そのほかにはITコンサルタントの経験者、あとは寺川さんのように営業経験のある方もいらっしゃいます。
寺川:人柄的には、私も含めてすごくおしゃべりなタイプはあまりいないのですが、みなさん優しくて知見も広いので、ひとたび会話が始まれば盛り上がりますし、技術的な部分も含めて困ったときには色々と相談に乗ってくれます。
廣田:リモートワークがメインなので普段はあまり直接会う機会がないのですが、話しやすい雰囲気はできていると思います。プロダクトのリリースのタイミングや対面で部会を実施したときなどはチームで飲み会を開くこともありますし、期の節目にはセンター全体でオフラインのキックオフイベントを開催することもあります。
おふたりが思うプロデュース1部の特長や魅力を教えてください。
廣田:広告の会社ならではだと思うのは、社内向けのシステムでもデザインにこだわるというところです。「CREATIVITY ENGINE BLOOM」のプロダクトも、社員の方々の仕事のモチベーションにつながるものを作るというコンセプトがあり、使いたくなるデザインを追求しています。
企画部門やクリエイターの方々と話をすると、自分では思ってもみなかったアイデアや意見を聞くことができるのも面白いですね。
寺川:今着手している開発案件以外にも企画されていることはたくさんあり、自分から手を挙げればやりたいことにチャレンジできる環境があるというのも魅力だと思います。もちろんやりたいことだけというわけにはいきませんが、大﨑部長やリーダーがメンバーの意思を聞いてアサインしてくれるのでありがたいです。
廣田:少し前に入社したメンバーから生成AI関連の仕事をしたいという希望が出たときもそれが実現できるような案件が立ち上がりましたし、外部のセミナーなどにも積極的に参加して、興味を持ったことはどんどん業務に活かしてほしいということはよく言われています。
最後に、どんな方に仲間に加わっていただきたいですか。
寺川:エンジニアとして自分の専門分野があるというのはもちろんプロデュース1部の仕事でも強みになります。それと同時に、様々なプロジェクトが動いていて、チャレンジングな領域を担当することもあるので、専門分野に固執せず柔軟に新しいことを楽しめる方とはぜひ一緒に仕事をしたいです。
技術者として成長してキャリアを積んでいける環境が整っていますし、広告業界ならではのクリエイティブな発想にも触れながら技術者としてのチャレンジができるので、分野を広げてスキルを伸ばしていきたい方はもちろん、広告やクリエイティブなことに興味があって、それを縁の下の力持ちとして支えていくことにやりがいを感じる方にはとても合う仕事だと思います。
廣田:私自身が前職の開発会社と比較して自由度が高いと感じているので、自分の中で何かやりたいことがあってチャレンジしていきたいという方に来ていただくとフィットすると思います。最近は若手も増えてきており、入社時にものすごく専門性が高くなくても、エンジニアとして躍進しています。
あとは、博報堂DYグループの会社なので、生活者発想や心を動かすというキーワードにピンとくる方に仲間に加わっていただけると嬉しいです。
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