マーケティングの暗黙知を、誰もが使える武器にする「STRATEGY BLOOM PLANNING」とは
マーケティングの暗黙知を、誰もが使える武器にする「STRATEGY BLOOM PLANNING」とは 

博報堂DYグループでは、データとAIを活用してグループ全体のマーケティング業務を支援するプロダクト群「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の開発が進められています。 

今回は、その中核を担うプロダクトの一つである「STRATEGY BLOOM PLANNING」の開発においてプロジェクトリーダーを務める高口さんにインタビュー。プロジェクトの背景やプロダクトの魅力、そして仕事のリアルな面白さを伺いました。 

博報堂テクノロジーズが描く未来と「CREATIVITY ENGINE BLOOM」

高口さんが所属されている開発第1センターが開発を手掛ける「STRATEGY BLOOM」について、全体像を教えてください。 

高口: 博報堂テクノロジーズは、博報堂DYグループ内に点在していたシステムやテクノロジーのリソースを統合し、グループ全体のテクノロジー基盤を推進するために設立された、いわばグループ全体の変革と成長をリードする中核組織です。

博報堂DYグループが開発を進めている「CREATIVITY ENGINE BLOOM」は、購買データやWeb行動ログ、博報堂DYグループ独自の生活者データ、プラットフォームデータ、クライアント企業のデータなどを連携させ、AIを活用することで、多様なデータ分析・解析を可能にするプロダクト群です。グループ全社員が簡単に使えるマーケティング支援ツールを提供することを目指しています。CREATIVITY ENGINE BLOOMには領域別に5つのモジュールがあるのですが、その中心としてマーケティング戦略の領域を担っているのが「STRATEGY BLOOM」です。市場構造の可視化やターゲット設定、KPI策定、コンセプト開発などの業務の効率化を実現しています。 

誰でも高度なプラニングが可能になる「STRATEGY BLOOM PLANNING」とは 

高口さんは、STRATEGY BLOOMの開発にあたってどのような役割を担っていらっしゃるのでしょうか。また、プロジェクトの体制についてもお聞かせください。

高口: 私はSTRATEGY BLOOMのなかでも戦略策定を担う「STRATEGY BLOOM PLANNING」の開発において、プロジェクトリーダーを務めています。 

プロジェクトには、社内のビジネスサイドのメンバーも含めると約20名の社員が関わっています。さらに、社外の開発パートナーにも入っていただき、開発を進めています。 

STRATEGY BLOOM PLANNINGについて、詳しく教えてください。

高口: STRATEGY BLOOM PLANNINGは、博報堂DYグループが持つ「生活者DATA PLATFORM」を基盤に、グループの強みであるプラニングノウハウを、業界や商材に合わせた分析メニューとして実装したプロダクトです。これにより、マーケティングプロセスの効率化、標準化、そして高度化を目指しています。 

開発の背景には、従来のマーケティング戦略策定の属人化という大きな課題がありました。これまで分析手法やプラニングプロセスといったプラナーの持つナレッジは暗黙知となっており、型化・汎用化されていませんでした。プラナー一人ひとりが自らPythonでプログラミングをして分析を行っていたんです。案件ごとにゼロから分析を行う必要があり、非常に時間がかかっていました。私たちはこの非効率を解消し、誰もが戦略策定に必要な高度な分析を簡易な操作でできるよう、このプロダクトを開発しました。 

STRATEGY BLOOM PLANNINGの具体的な機能と現在地 

プラナーの「暗黙知」をシステムとして型化するというのは、非常に挑戦的で面白そうです。具体的にはどのようなことが可能になるのでしょうか。

高口: STRATEGY BLOOM PLANNINGは、マーケティングの起点となる「市場構造把握」から「ターゲット規定」「価値規定」、そして「KPI設定」までをワンストップで実行できるプロダクトです。 

市場構造把握では、広告出稿から顧客獲得に至る工程を段階ごとに分解して可視化する「ファネル分析型」や、生活者が商材カテゴリーをきっかけにブランドを想起する行動に注目し、自社と競合の比較や強化すべきブランドイメージを選定できる「CEP(カテゴリーエントリーポイント)分析型」といった分析手法が実装されています。 

これらの機能により、対象商材の現状や、マーケティングKGI達成のために重要なKPIを特定し、それをもとにクリエイティブ開発やメディアプラニングにつながるターゲット規定を行います。最終的には、ターゲットに訴求すべきメッセージやブランドイメージを導き出し、コミュニケーション戦略策定やクリエイティブ制作につながる示唆を提供するとともに、重要KPIの目標値設定も行う仕組みです。この一連の流れは、すでにプロダクトとして実装されています。 

ただ、まだ立ち上げ期でようやく安定運用稼働のフェーズに入ったところなので、ここからクライアントへの提案活動にどんどん使っていただいて、フィードバックをもらうことで、現場のニーズや実態に沿った分析ができるように機能の追加拡張を継続していきたいと考えています。

博報堂DYグループ全体の進化に貢献する 

STRATEGY BLOOM PLANNINGは博報堂DYグループの成長にとってどのような意味を持つとお考えですか。 

高口: STRATEGY BLOOM PLANNINGの最大のミッションは、やはりグループ全体のプラニング業務の効率化と高度化です。社員間の経験値にばらつきがある中で、このプロダクトを活用することで、グループ全体のプラニングスキルを高いレベルで維持・向上させ、プロセスを標準化していくことを目指しています。 

具体的なインパクトとしては、これまでデータ収集や前処理、仮説検証に費やされていた作業時間を大幅に短縮できると見込んでいます。従来の業務では、これらの作業に多くの時間がかかりましたが、STRATEGY BLOOM PLANNINGを活用することで、その作業時間を半分程度に削減できると考えています。これにより、プラナーや営業のみなさんは、データ集めや資料作成といった作業ではなく、本来集中すべきクライアントへの本質的な提案の議論に時間を充てられるようになります。提案の土台がある状態で議論を始められるので、提案資料のクオリティ向上にも繋がるでしょう。 

また、STRATEGY BLOOM PLANNINGは、マーケティング業務のノウハウを集約、標準化しているので、マーケティング戦略立案の知見を持たないメンバーにとっては、マーケティングの考え方を学びながら戦略を建てられる教材としての側面も持っており、人材育成にも寄与すると考えています。私自身、入社時はマーケティングや統計に関する知識が全くなかったのですが、このプロジェクトを通してそれらを学んできています。 

STRATEGY BLOOM PLANNINGを通して、人材育成をしながらクライアントの課題解決や目標策定を行い、事業グロースに貢献していけると考えています。 

今後は、デジタルクリエイティブ領域を支援する「CREATIVE BLOOM」やメディアプラニングを担う「MEDIA BLOOM」など、「CREATIVITY ENGINE BLOOM」の他のモジュールとも連携して、市場分析からクリエイティブ制作、メディアプランニングまで一気通貫で支援できる仕組みを構築し、博報堂DYグループにおけるマーケティング活動全般を進化させていきます。 

生活者の心を動かし、行動を変える。仕事の魅力と博報堂テクノロジーズの開発文化 

STRATEGY BLOOM PLANNINGの開発に携わるなかで、どのようなときにやりがいを感じますか。 

高口: 私は常に「自分が一番の素人ユーザーだ」という視点で開発に臨んでいます。要件定義の段階では理解しきれなかった業務のディテールや現場のリアル感を、ユーザーの立場に立ってデモをしたり、提案のシミュレーションをしたりする中で掴んでいくんです。 

ひとつひとつの操作やアウトプットを見て、次にどんなアクションを取るのかな、とイメージすることで「これでは使いづらい」「理解しにくい」「次のアクションにつながらない」といった気づきが生まれます。その気づきを踏まえて私から業務オーナーに要件の提案や要望をすることも少なくありません。そうして業務オーナーと一緒に作り上げたプロダクトを、自分の言葉でも価値をしっかりと説明でき、それが業務で役立っているシーンを実際に自分の目で直接見たり、現場で肌で実感できた時に、大きなやりがいを感じます。 

そういうことをやっていくと、だんだんと信頼を得られて、現場のリアルな声を聞くことができるようになるんですよね。私自身もどんどん現場に近くなっていき、そこから業務の実態やユースケースを学んでシステムに還元していく。そのサイクルの中にいる時が、一番面白いですね。 

PMやテックリードとして開発に携わるメンバーにとっての魅力はどんなところにあると思いますか。

高口:魅力のひとつは、挑戦が当たり前にできるカルチャーです。LLM(大規模言語モデル)や機械学習、AIといった最先端のテクノロジーを積極的に活用し、実際のビジネス課題やシステム開発の課題解決につなげていくことが日常的に行われており、これを止める人はまずいない、と言い切れます。 

そうした技術をフルに活かして、市場やクライアントの課題を解決したり、新しい価値を生み出したりするために、システムやソリューションの企画・構想から技術検証、研究開発、PoC(概念検証)、そして実装まで、一連のプロセスを自らリードして推進できるのは、PMにとって大きな魅力ではないでしょうか。 

さらに、広告・マーケティングという業務の特性上、特定の業界やサービスに縛られず、社会全般のデータや戦略に関わることができるのもポイントです。ひとつの領域にとどまらず、俯瞰した技術的視野を磨ける環境があります。 

テックリードにとっては、博報堂DYグループだからこそできる、UI/UXにこだわった開発に携わるという経験も魅力的だと思います。 

さらに、データサイエンティストやマーケッターとの共同プロジェクトを通して具体的な価値を創るとともに、多様なスペシャリストの見識から自身の技術に対する理解を深めることもできると感じています。 

最後に、どのような方にメンバーに加わっていただきたいですか。 

高口:自分の専門性に固執せずに新しいことにチャレンジできる柔軟さと、「世間をおっ」と言わせるものを作りたいという気概を持った方が仲間に加わってくれると嬉しいです。 

また、自ら考えて一歩先を読み、次のアクションを打つことが、当社のようなIT戦略を担う事業会社には必要だと思っているので、自発的に発信や提案をし、周りをうまく巻き込みながら実行に移すことができる方は、とても活躍できると思います。 

※ 記載内容は2025年9月時点のものです

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