取り巻く環境が目まぐるしく変化していく。クリエイティブAIチームが担う仕事

AI研究開発部のクリエイティブAIチームに所属する星野。H-AI SEARCHの開発において、広告テキストの自動生成機能に携わっています。 

「広告テキストは、ネット上のデジタル広告で表示される広告文のことです。たとえば、Googleなどの検索エンジンでキーワードを入力すると、検索結果の上位に検索したワードに関わる広告が表示されます。私は検索結果のタイトルと説明文に当たる広告文をAIで自動生成するシステム、H-AI SEARCHの開発を進めています。

H-AI SEARCHは広告テキストの自動生成と広告配信効果予測の機能を持ち、広告運用の業務・成果改善を目的としてつくられたシステムです。このシステムを用いることで、大量の広告を自動的に生成し、かつ、効果の高い広告文を判別することが可能となり、人の広告文の制作負荷を大きく下げることが可能となります。私は、主にH-AI SEARCHのコアである広告文の生成モデルの開発を担っています」

作成する広告文は、数十から100文字程度の比較的短いもの。とはいえ広告文の生成モデルの開発にはさまざまな困難やハードルがあると言います。

「人間が違和感なく読める文章を作り出すこと自体が、まずは難しいんです。そこに取り組み、徐々に調整してより良いものにしていくのは大変な作業でもあり、大きなおもしろさを含む挑戦ですね。

さらに、このジャンルの研究は急速に進歩しています。ChatGPTなど誰もが扱えるAIサービスが登場してきた中、われわれがそれらとどう向き合い、どのように活用していくか。環境が変わりニーズも変わる中で、開発者や広告運用者とコミュニケーションを取りながら、プロダクトを成長させていくのが私たちのチームなんです」

H-AI SEARCHの現在の開発メンバーは、AI開発を担う星野ら4名、アプリの開発が2名(1名はAI開発と兼任)、そしてプロダクトオーナーが1名という計6名。星野は共に仕事をする仲間に、常に刺激を受けていると話します。

「チームメンバーの技術の高さと知識の深さには、毎日驚かされています。私は大学院で、今の仕事に近い『自然言語処理』の研究をしていました。今まで研究してきたことを生かしつつ、新しいものをインプットして、チームの中でプロダクトに貢献するアウトプットをしていければと思っています」

大学院に残り研究を続けるか悩んだ日々も。それでも企業で働く決断をした理由

星野は大学院生時代の2022年8月、AI研究開発部の前身組織であるnegocia社(博報堂DYグループの株式会社アイレップと資本業務提携)でインターンシップ研修に参加。しかし、そこに至るまでに悩みを抱えていたと話します。

「大学院で修士課程を終え、博士課程に進むか、企業に就職するかで悩んでいました。自動要約文生成を専門に研究していて、そのおもしろさに魅力を感じていたので……。しかしその中で、negociaから声をかけていただいて、自分の研究と深く関係することを高いレベルでプロダクトに活かせるのではと思ったんです。アカデミックの場で研究を続けるだけではなく、ビジネスの場で自然言語処理の知識・技術を活かすことで、自分が大きく成長できる可能性を感じました」

実際にインターンシップ研修を受け、技術力の高さ、コミュニケーションが取りやすい社風を肌で感じた星野。「そのイメージは入社してからも変わっていない」と話します。

「博報堂テクノロジーズの中で、実は研究もできています。私自身、入社後の2023年8月に行われた『NLP若手の会 (YANS) 第18回シンポジウム』に参加したんです。『忠実性向上のためにcopy機構を備えた広告文自動生成器』というテーマで、生成される広告文の品質をより上げるための手法について発表しました。

プロダクト開発の中で試行錯誤した部分を研究成果として紹介したのですが、開発と研究を並行してできるというのは、入社前に期待していた以上の出来事でしたね」

博報堂テクノロジーズに入社して約半年が経過して、日々の仕事で自分の課題も見つかってきたと星野は言います。

「今は、プロダクト開発のための設計・コーディングなどの業務のほかに、学生インターンのメンターを担当したり、採用にも少し関わったりしています。学生の時と比べると、1種類の業務に打ち込むのではなく、複数のことに気を配りながら仕事をしなければいけない場面が多々あると感じます。複数のタスクをこなし、成果を一つひとつ積み上げていくことが今の自分の課題で、今後の成長につなげていこうと考えています」

多様なバックグラウンドを持つスペシャリストたちと切磋琢磨を

現在、リモートワークが主体になっているクリエイティブAIチームですが、コミュニケーションに不便は感じていないと星野は言います。

「私自身、大学院生のころからコロナ禍に入ってしまったので、研究も自宅で作業することが多かったんです。引き続き同じ環境で仕事できているのは、自分にとっては良かったと感じています。

コミュニケーションが取りやすいというのは、私が大学院で過ごしていたような、理系のラボ的なカルチャーがこのチームに息づいていることが大きいと思います。いろいろなことを教えてもらえますし、自分からも自由に意見を言える環境です」

さらにクリエイティブAIチームでは、定期的な勉強会も行われていると星野は話します。

「AIや機械学習分野の教科書を、メンバーと一緒に輪読するというのをほぼ毎日、15分やっているんです。クリエイティブAIチームは、H-AI SERACHの開発に携わる自然言語処理の技術者と、他のプロダクトの開発を行なっている画像処理の技術者からなるチームで、勉強会ではそれぞれのドメインに関連したテーマを扱っています。自分の研究開発に直接関係するような基礎的な知識から、応用的な事柄まで共有され、とても良い知識吸収の場となっています」

入社から約半年ながら、星野が感じているのはメンバーの多様性。国籍はもちろん、分野の違う知識を持つ、多種多様かつ多才なメンバーが集まっていると語ります。

「先日、機械学習チームにはアイルランド出身で日本に長く住んでいる技術者が加わりましたね。勉強会の参加者には中国から来た技術者もいて、グローバル化が進んでいるのを肌で感じます。国籍だけではなく専門性にもそれぞれ違いがあり、たとえば大学で化学・物理を学んだ人もいます。一見、まったく畑が違うような分野でも、コンピューターサイエンスとの関わりがあって統計学・数学に詳しい、なんてこともあるんです。

私は現在の仕事に近い研究をしてきましたが、いろいろな分野からのフィードバックを受けることができて、さらに知見が深まっていくのを感じています。さまざまなスペシャリストが集まり、幅広いバックグラウンドを持つ技術者が交流することで新たなものを生み出していけるのが博報堂テクノロジーズの魅力ではないでしょうか」

一人ひとりに喜ばれる広告づくりを。システム面からサポートしていきたい

マーケティングとテクノロジーの融合をめざす博報堂テクノロジーズ。 ITをはじめとしたテクノロジーが世界を大きく変えている今、当社はその趨勢とどう向き合うのか。星野がマーケティングの未来と、自身の仕事のビジョンを語ります。

「AIをはじめとしたテクノロジー分野の進歩によって、マーケティングの世界は今大きな変化を迎えています。 その時代の変化とともに、現在の広告の形も大きく変わっていくのではないかと思っています。

旧来の広告はテレビや雑誌などのマスメディアによって、画一的に消費者に配信されていました。 しかしインターネットの登場によって、一人ひとりにパーソナライズされた広告が可能となりました。 この流れは今後さらに加速し、より個々に合った広告が求められるのではないでしょうか。 一人ひとりに寄り添う『嬉しい広告』こそ、われわれがめざすべき広告の形であると考えています。

『嬉しい広告』の実現に向け、短期的には今のプロダクトをより成長させて、広告運用の業務改善から、より運用者がクリエイティビティを発揮できるような環境をつくっていきたいです。 長期的には、新しいテクノロジーを駆使し、今のマーケティングの形を刷新するようなプロダクトや広告の提案ができれば、本当におもしろいだろうなと思います。そんな未来を実現するために、新しい技術をマーケティングに活かせるよう努力していきたいです」

大学時代から研究を続ける最先端のテクノロジーを、開発の現場で活かし続ける星野。最後に博報堂テクノロジーズをめざす技術者に向けてメッセージを送ります。

「AI技術に興味があり、その開発を進めるためのコミュニケーションを楽しめる人なら、博報堂テクノロジーズで共に成長していけると思っています。理系の研究室のようなカルチャーがあり、チーム全体でプロダクトの開発に向かって進んでいくことができます。

私も入社してまだ約半年ですが、インターンシップに参加したころから感じていたクリエイティブな環境がここにはあると確信しています。ぜひ、いろいろな分野の人と一緒に仕事をしていきたいです。

それぞれ粒の違う多彩な人材が集まる博報堂テクノロジーズで、同じ方向を見て進める新たな仲間との出会いを心待ちにしています」

※ 記載内容は2023年10月時点のものです

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