大量生成された広告クリエイティブから最適な広告ポートフォリオを自動設計するAI技術を開発

博報堂テクノロジーズは、半熟仮想株式会社との共同研究として取り組んだ「生成AI時代における広告クリエイティブ選定・配分最適化技術」に関する研究論文が、広告・マーケティング分野における国際的なデータサイエンスワークショップ「AdKDD 2026」に採択されたことをお知らせします。AdKDDは、データマイニング分野の国際会議KDDに併催される、オンライン広告・広告AI分野を代表する国際ワークショップです。論文は2026年8月に開催されるAdKDD 2026にて発表予定です。
研究背景
生成AIの台頭により、広告クリエイティブを低コストで大量に生成できるようになりました。一方、配信アルゴリズムが選択できるのは、入稿された広告アセットに限られます。よって配信成果の最大化のためには生成量を増やすだけでは不十分であり、候補群の構成が配信性能を左右します。
候補が少なければ生活者ごとの関心を捉えられず、多すぎれば探索コストが増えます。成果データも入稿・配信した素材に限られ、過去の入稿判断が次の学習を左右します。このため、個々の予測効果だけでなく、入稿本数・多様性・組み合わせを含む入稿ポートフォリオの全体設計が重要です。
研究の概要と意義
本研究では、入稿する広告アセットの集合を「ポートフォリオ」と捉え、過去の配信ログから新たな選択方針を学ぶ問題を広告アセットポートフォリオ最適化(Ad-POP)として定式化しました。
提案手法「Ad-POM」では、
- 入稿本数や多様性など、ポートフォリオ全体の構成方針を第一段階で選択
- その方針に沿って、実際に入稿する広告アセットの組み合わせを第二段階で選択
- 過去ログとの選ばれ方の違いを構成方針の範囲に絞って補正し、学習を安定させながら素材同士の相互作用を考慮
- という仕組みにより、広告アセットの全組み合わせを直接扱う際の不安定さと、素材を個別評価する場合に生じてしまう相互作用の見落としを抑え、安定性と表現力の両立を目指します。
生成AIで増える広告アセット候補を成果につなげるには、単体評価だけでなく、生活者ニーズを補完する組み合わせと探索コストを含めた全体設計が必要です。実際の広告表示・クリック履歴をもとにした半合成評価では、幅広い条件で既存手法を上回る性能が確認されました。本研究は、蓄積された配信ログから次に入稿するポートフォリオの設計を支援する技術基盤となることが期待されます。
論文情報
論文タイトル: Ad Asset Portfolio Optimization via Policy Learning
著者: Koichi Tanaka (Keio University), Zhi Wang (Hakuhodo Technologies), Masahiro Asami (Hakuhodo Technologies), Kota Ishizuka (Hakuhodo Technologies), Kosuke Kawakami (Hakuhodo Technologies) and Yuta Saito (Hakuhodo Technologies).
学会: Ad KDD 2026
AdKDD 2026について
AdKDDは、データマイニング・機械学習分野で世界最高峰の国際会議「ACM SIGKDD Conference on Knowledge Discovery and Data Mining(KDD)」に併催される、広告・マーケティング分野のAI・機械学習に特化した国際ワークショップです。2007年から開催されており、企業・大学の研究者が最新の研究成果を発表する場として広く知られています。
HP:https://www.adkdd.org/?utm_source=chatgpt.com
今後の展望

博報堂テクノロジーズでは、生成AIと広告・マーケティングデータを組み合わせた研究開発を推進し、広告クリエイティブ制作から運用最適化まで一貫して支援するAI技術の実用化を目指します。今後も、博報堂DYグループの横断的なAI専門家集団「HCAI Professionals」の活動として、半熟仮想株式会社との共同研究を通じて、広告・マーケティング領域におけるAI活用の高度化と、新たな価値創出に取り組んでまいります。(データテクノロジー2部 部長 川上 孝介)








