AI技術を駆使してマーケティングデータを自動処理するパイプラインシステムを開発
プロダクト開発センター プロダクト開発センターML基盤開発部に籍を置く滝澤。現在は、AIを活用して広告運用を最適化するプロダクトの開発を進めています。
「ML基盤開発部は、2つのパイプラインシステムの設計・構築と、データマネジメント業務を主に行っています。システムの1つが、広告実績データを自動取得するパイプライン。Amazon、Google、Yahooなどの広告プラットフォームから広告実績データを取得し、各アプリケーションに供給したりデータサイエンティストが分析したりして機械学習で最適化するシステムです。
もう1つが、機械学習で広告入札金額を計算するパイプラインシステムです。プロダクト開発センターでは、Amazonのスポンサー広告をAIで自動運用するアプリケーション『Commerce Flow(コマース フロー)』を開発・提供しており、当部では、広告の入札を機械学習で最適化するシステム『Sophia-AI』を開発しています。
前者はエンジニア(現在はエンジニア2名、プロダクトマネージャー1名、スクラムマスター1名の構成)などが在籍するデータマネジメントチーム。後者は4名のエンジニアと2名のデータサイエンティストで構成されるチームで課題解決に挑んでいます」
マーケティングの世界では、データ量が他領域と比べて多いのが特徴です。そのため、滝澤には常に意識してきたことがあると言います。
「データ量が多くてもパフォーマンスを落とすことなく処理できるように、データを並列処理したり分散処理したりと、設計に工夫を施すことを心がけてきました」
また、滝澤と共に課題解決に取り組むのは、個性豊かなプロフェッショナルたち。頼りがいのある多彩なメンバーが集まっていると話します。
「私のようなフリーランスを経験してきた人のほか、negocia出身者、アイレップの出身者など、さまざまなメンバーが在籍しています。技術的なバックグラウンドも個性的で、エンジニアもデータサイエンティストも得意分野はそれぞれ。インフラの知見を持つ人もいれば、プログラムを非常に効率的に書ける人も。
画像、自然言語、時系列データを専門とする人などもいて、それぞれの持ち味を活かしながら幅広い課題を解決してきました。まさに“粒ぞろいよりも、粒違い”といったカルチャーを感じられる環境です。
加えて、メンバーの関係性はフラット。ミーティングでは、良いアイデアであれば誰の発案であっても採用されます。ミーティングは話し合う目的を明確にした上で進められ、時間を大切にするカルチャーがあることも気に入っているポイントです」
社会人になってシステム開発に目覚め、エンジニアに。機械学習の知見を得るため転職
2013年、大学院を卒業後に建設コンサルティング会社に就職した滝澤。エンジニアではなく、コンサル兼リサーチ役としてキャリアをスタートしました。
「学生時代はプログラミングやシステム開発とは縁がなかったのですが、1社目では官公庁向けのシステム開発に携わる機会があり、それがとても楽しかったのです。
当時はディープラーニングやニューラルネットワークの分野が盛り上がっていたころ。興味の赴くまま、勉強会に参加しながら独学でシステム開発やプログラミングを学びました。1社目に5年勤めたところで、人材系企業にデータサイエンティストの求人があるのを見つけて転職。
その1年後、ベンチャー企業からバックエンド開発のオファーがあってフリーランスのエンジニアとなり、2年ほど機械学習システムの開発に従事しました」
そして2021年、滝澤はAI研究開発部の前身組織であるnegociaへ入社。さらなるスキルアップを見据えた新たな挑戦でした。
「フリーランス時代に機械学習のモデル作成をするアプリケーションの開発に関わり、機械学習において重要なのがデータであることを学びました。negociaに入社したのは、機械学習に関連するプロダクトやシステムの開発・運用を自社で手がける企業で知見や経験を積むことが自分の成長につながると考えたからです」
滝澤を待っていたのは、テクノロジーとマーケティングが交差する領域。入社から約1年後、negociaから博報堂DYグループの博報堂テクノロジーズに籍を移しましたが、それもまた新たな醍醐味を知るための入り口になりました。
「negocia時代にもマーケティングで扱うデータ量が膨大なことに魅力を感じていましたが、博報堂テクノロジーズに加わってからは新たに立ち上がったデータマネジメントチームにも参加でき、業務の幅が広がっています。扱えるデータ基盤がnegociaのころよりさらに増えましたから、それをどう活用していくかという点で可能性を感じる日々です。
扱うデータが増えたことで、時に、仕様にないデータが戻ってくるなど困難な課題に直面することもありますが、コストを抑えながら桁違いのスケールのデータ量を処理する能力を備えたシステムを設計していくところにも、エンジニアとしておもしろみを感じています」
大規模なデータとタイムリーな改修。マーケティング×テクノロジーゆえのおもしろさ
入社以来、大規模なデータに取り組んできた滝澤。最近も、マーケティング領域特有の課題と向き合うこんな経験がありました。
「Amazonの広告データが膨大なため、データ取得が遅いこと、バッチ処理の実行時間が長いことが問題になっていました。そこで、データマネジメントチームと共に改修プロジェクトを展開し、広告データの処理をCommerce Flowのアプリケーションからデータマネジメント側に移管してプロセスを分散処理する設計に変更。短時間でデータが取得できる仕組みに大改修しました。
その結果、サーバーの長時間実行が回避されてコスト効率が向上し、エラーが発生すればすぐにわかるようにもなりました」
マーケティング×テクノロジーの領域に携わるがゆえのおもしろさはほかにも。滝澤はさらにこう続けます。
「広告データはリアルタイムでフィードバックがあるので、Commerce Flowは1月に1回以上アップデートをリリースしています。こうしてタイムリーに改修できるのもマーケティング領域ならではの魅力です。実は初リリース直後、広告運用実績が思うように伸びていなかったのです。
しかし、データサイエンティストやプランナーが問題点を分析してアルゴリズムを改善し、私たちエンジニアがすかさずシステムに組み込むことを繰り返したことで、広告効率目標を達成することができました」
また改修を続けた結果、クライアントから感謝の声が届くことも増えたと言います。
「最初にリリースしたころは、クライアントから伝えられるフィードバックは課題に関するものがほとんどでしたが、『いい形で運用できています』という具合に、最近は前向きな言葉をいただく機会が多くなってきました。
一般的なシステム開発では、不具合がない限りクライアントの声を聞く場面はなかなかありません。私たちが開発しているのはプロダクトです。クライアントに実際に利用してもらいながら継続的に改善し、それが感謝の言葉となって返ってくることがやりがいにつながっています」
スキルアップを実感できる環境のもと、データの仕組みを整え、さらなる価値を届ける
働き方は基本的にフルリモートワーク。通勤がなく、滝澤は働きやすい環境だと言います。一方で、メンバー同士が直接対面する機会は決して多くはありません。それでも働きにくさを感じたことはないと滝澤は言い切ります。
「コミュニケーション面で言えば、必要に応じてSlackなどでやりとりしていて、ハドルを使って対話することもあれば、チーム全体でオンライン会議を開いて話し合うことも。重要事項は共有ドキュメントにすべてまとめてありますし、チャットで雑談のような話をすることもありますから、リモートによるデメリットはありません。
エンジニアとして働く環境という面では、効率的な開発プロセスが確立されていて、自動テストや徹底したレビューがスムーズに行われる体制がプロダクト開発センターにはあると感じています。
また、誰でも安全にコードをデプロイできる仕組みが整っているのも魅力ですし、大量のデータ処理が必要なため、並列処理や分散処理をともなうシステムの設計やアーキテクチャの経験を積むことが可能です。スキルアップを望むエンジニアにとって理想的な環境だと思っています」
エンジニアにとって働きやすく、成長できるこの環境だからこそ、滝澤は明確なキャリア地図を描いています。
「データマネジメントチームは立ち上がったばかり。今後は、Commerce Flowで得た知見を活かして、GoogleやYahooなどの広告媒体でも円滑にデータ処理できる仕組みを構築したいです。
また、データサイエンティストがデータを活用しやすいよう、データにアクセスしやすいインフラを整備したり、データに説明書のような機能を添付したりしたいとも考えています。データサイエンティストの業務効率を高め、リソースを各アプリケーションの独自機能の開発に充てられる状態へと導き、クライアントにより良い価値を提供していくことが目標です。
チーム全体のパフォーマンス向上のため、人材育成にも力を入れたいと思っています。理想としているのは、課題を全員で共有した上で自律的に対応できるチーム。新メンバーをより良い環境で迎えられるよう、業務ナレッジの共有ドキュメントの整理も進めています。『そもそもなぜこのデータを処理するのか』と、ゴールを常に意識できるマインドを持った方と出会えるのを楽しみにしています」
マーケティングの世界に足を踏み入れたことで、新たな仕事とやりがいに出会った滝澤。マーケティングとテクノロジーが交差する舞台で、これからもエンジニアとして技術力を深化させながら、課題解決する力に磨きをかけ続けます。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
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