テクノロジー人材を惹きつける企業でありたい。ゼロベースから設計した人事制度の内容に迫る
テクノロジー人材を惹きつける企業でありたい。ゼロベースから設計した人事制度の内容に迫る

2022年4月に設立され、8月から本格的に営業を開始した博報堂テクノロジーズ。博報堂DYグループのテクノロジー戦略会社として、エンジニアをはじめとする高度プロフェッショナル人材を惹きつける独自の人事制度を構築しました。ゼロベースで設計されたその制度について、2023年にキャリア入社した担当の戸叶に話を聞きました。

事業戦略に沿った人事戦略や制度を企画。「当社が抱えるべき人材」の育成をめざす

まずは、戸叶さんの役割について教えてください。

博報堂テクノロジーズのHR戦略センターで、人事戦略の立案や人事制度の企画、タレントマネジメントの企画・運用など、幅広い業務をリードしています。人事戦略においては、3年から5年先を見据えた中長期の事業戦略にもとづき、今後どのような組織能力や人材マネジメントの仕組みが必要になるのかを検討しています。

そして、描いた未来を実現するために必要な人材をどのように育成し、処遇するか、その仕組みを作り展開することが私の役目です。所属する企画チームは、自分を含めメンバーが3名、部長と執行役員が1名ずつという少数精鋭の体制。スピード感を持って仕事を進めています。

新しい人事制度は完成しましたが、今後も継続的なブラッシュアップやアップデートが必要だと考えています。エンジニアのプロジェクト推進でたとえるなら、ウォーターフォール開発ではなくアジャイル開発で人事制度も進めたいとHRメンバー一同思っています。

制度導入後も、組織・社員との対話の中で見直しが必要な点が見つかった場合には、クイックに動いて制度のアップデートを繰り返す。実際、これまでも3カ月に1回、もしくは半年に1回という頻度で細かな制度の見直しを行ってきました。

高度プロフェッショナル人材を惹き付ける、魅力的な人事制度を構築

ここからは具体的な人事制度について教えてください。

博報堂テクノロジーズの人材マネジメントコンセプトは、「テクノロジー人材をはじめとした高度プロフェッショナル人材を惹き付け、維持し、活躍を最大化できる環境の構築」です。これは、経営層とのディスカッションを重ねながら決定したコンセプトであり、人事制度をはじめ、多くの人材マネジメント施策の「北極星」となる重要なものとして定めました。

当社の人材ポートフォリオの中で、メインを占めるのはテクノロジー人材です。当社では、「高度プロフェッショナル人材」と定義し、テクノロジー人材の方々が大切にしている価値観を深いレベルで理解した上で、人材マネジメントの各種施策を検討・実行していくことが非常に重要だと考えています。

たとえば、エンジニアの方々はそれぞれ専門領域に対して大きな誇りと自信を持っており、その領域における能力研鑽なども、楽しみながら自律的に行っている特徴があると認識しています。また、エンジニア業界はネットワークがオープンかつコミュニティ内の交流が活発であり、その中で社内外問わず労働条件や先端技術などについて活発に情報交換が行われています。このように、雇用・仕事に対する価値観・環境という側面でも、特徴的な観点を持っていることが多いと感じます。

そうした社員たちにとって、魅力的な会社とは何か、どうすれば社員たちが最大限に活躍できるのか。それらを徹底的に考え抜き、実現したいという決意をこのコンセプトに込めました。

人材マネジメントのサイクルにおけるアサイン、育成、評価、処遇について具体的にどのような方針を掲げているのか教えてください。

アサイン・育成では、自組織に閉じた業務だけではなく、組織横断も含めた柔軟な業務配置やチャレンジングな機会を積極的に提供することや、管理職にならずとも、管理職と同等のミッションにチャレンジし、同等の処遇がなされる複線型のキャリアパスの設定など、主体的なキャリア選択や能力伸長を支援する仕組みを人事制度にも反映させています。

評価は、「ミッション達成度評価」と、加点的要素の「イノベーション評価」で構成されており、後者は、持続的な価値創出につながるイノベーティブな成果創出に対する認知形成、および褒賞を目的に実施するものです。「ミッションに含まれるものだけを評価するのではなく、中期的な組織力の強化や成長につながるような取り組みも奨励したい」という思いから取り入れている制度です。

そして、人事制度を支えるコアとなる考え方が、一般的な等級制度に該当する「ミッショングレード制度」(以下、MG制度)です。MG制度とは、アサインされた仕事(ミッション)の大きさと難易度・影響度によってグレードや報酬を決定する考え方であり、事業環境や本人のケイパビリティに応じて迅速にミッションを着脱でき、その内容を迅速に処遇に反映できるのが最大の特徴です。

当社では、評価も、一般的な昇降格にあたるMGの変更も年2回実施しています。それは、当社を取り巻く事業のスピードがすさまじく速い中、昇降格の機会が年に1度では足りないよね、という考えにもとづきます。達成すべきミッションのサイズが変わったら、柔軟にグレード・報酬も変更することが、当社と当社で働く高度プロフェッショナル人材には必要だと考えています。

また、当社の報酬水準は、外部の企業をベンチマークした上で設定しており、競合となる企業にも劣後しない競争力のある水準であると自負しています。前職のコンサルティングファームでは、統計情報として自社の報酬サーベイデータを用いたコンサルティングを数多く実施してきましたが、報酬サーベイデータと照らし合わせても高い水準を用意できていることは、当社の人事制度の魅力の1つだと思っています。

コンセプトとして表した通り、今後は高度プロフェッショナル人材にとって魅力的な制度を設計し、どのように惹き付け活躍してもらうかが事業成長のカギになると考えています。報酬額だけでなく、柔軟な勤務体制ややりがいのある案件、プロとして常に成長できる環境など多様な要素を整え、高度プロフェッショナル人材に選ばれ続ける企業でありたいですね。

数々の企業の人事に携わった上で感じる、博報堂テクノロジーズの魅力

戸叶さんが博報堂テクノロジーズに入社された背景や、これまでのご経験について教えてください。

博報堂テクノロジーズに入社したのは、新たな人事制度をリリースする3カ月前でした。人事制度の方向性は固まっているものの、詳細は定まっていない、という状況の中、制度骨子の策定・詳細の詰め・運用に際した社員とのコミュニケーションをリードしてきました。

入社直後から活躍できた背景には、どのような経験があったのでしょうか?

それはこれまでに大手企業やコンサル・ファームでの、豊富な人事経験を積んできたことにあると思います。人事としてのファーストキャリアは、新卒で入社した大手通信会社でした。主要なグループ会社の人事制度改定において、持株会社が推進役を務めることになり、各社との連携や制度の整合性を取る役割を担当しました。数多くの人材を抱える大企業の人事業務に携わることは、大きなやりがいがありましたね。

2018年には、新たなステージとして組織人事領域を専門とする米国系のグローバル・コンサルティング・ファームに転職しました。ここでは人事制度策定やタレントマネジメント戦略の立案、サクセッションプランニング、エグゼクティブアセスメント、人事ガバナンス体制の構築など、幅広い業務に携わりました。支援する企業の規模もさまざまで、主には大手企業をサポートしていたのですが、後半はスタートアップやメガベンチャーも担当。多種多様な案件を経験したことで、着実にスキルアップできたと思います。

ただ、コンサルタントという立場だと、平均6カ月程度、長くても1.5年程度でプロジェクトが終わってしまい、中長期的な改革には伴走できない。プロジェクトが終わった後も、クライアントの動向が気になり、独自に調べることも多かったです。そのような状況が続く中、「ひとつの会社の人事課題解決のために、長期的な目線で責任を持って取り組んでみたい」という想いが強くなっていきました。

そうして出会ったのが博報堂テクノロジーズだったのですね。業務の中でとくに印象に残っていることは何ですか?

博報堂テクノロジーズでとくに印象に残っている業務は、一般的な等級定義にあたるMGガイドラインのブラッシュアップを実施したことです。入社後1年間は、組織におけるMG制度の旗振り役となる役員や管理職たちに、いかに納得してもらい、協力を得るか、という点に重きを置きました。

その中で、各グレードにどのような役割を求めるか、という期待値が役員・管理職によって大きく異なる点を課題と捉え、等級定義にあたるMGガイドラインの改定に取り掛かりました。ガイドラインの改定に際しては、各組織の実情を踏まえた上で、その内容について腹落ちしてもらうことが大切と考え、役員全員を巻き込み複数回のワークショップを開催し、各グレードに求められる期待役割や成果について徹底的に議論してもらいました。

その時に感じたのは、当社役員の強い情熱と人事領域への知識の深さです。私はコンサル時代、さまざまな企業で同じようなワークショップを開催してきましたが、相対的には参加意欲が低い企業や、個々人で関心に大きな差がある企業も多く見てきました。

しかし、当社の役員はみんなが真剣。このような方々が会社のリーダー層として組織を牽引していることは、当社の大きな魅力だと思いました。本質的な議論ができたことにより、全員が腹落ちしたガイドラインが完成し、各組織への展開も、想定よりもスムーズに進んだと感じています。

フラットな組織だからこそ生まれる好循環。多様性溢れる刺激的な環境で成長できる

博報堂テクノロジーズはどんな会社だと思いますか?

社員の多様性を尊重し、それを強みにしている会社だと思います。博報堂DYグループのカルチャーは、よく「粒揃いより粒違い」という言葉で表現されますが、当社もこれを強く体現できていると思います。たとえば社員のバックグラウンドで言えば、HRを見てもスタートアップや広告代理店、大手IT企業、官公庁、コンサルティングファーム出身者などがいて、とても多様性に富んだチームです。

メンバーがお互いを、各領域のプロフェッショナルとしてリスペクトする文化が強いため、心理的安全性が高い環境であることも大きな魅力です。「みんな違うからこそ、価値が生まれる」という考えが深いレベルで組織に根付いている会社はなかなかないので、素晴らしいメンバーに囲まれて仕事ができることを幸せに感じますし、今までのキャリアでダントツでいい会社だと思います。

どのような点がとくに「ダントツでいい会社」だと感じますか?

いろんな魅力があるのですが、その土台となっているのはやはり「フラットな組織」であることだと思います。フラットだから意思決定が速く、大きな会社でありながらスタートアップに比肩するスピードで仕事が進むんです。また、ボトムアップで提案しやすい環境も大きなポイントです。

組織にとって必要であり、事業方針との整合性や背景にあるロジックがしっかりしていれば、誰の意見か、という点は関係なく、採用、実行に移すことができます。私も入社1カ月に満たない時点から数多くの提案を実現させてきました。

さらに人材育成も積極的に実施しており、当社では上場企業平均を大きく上回る予算を継続的に人材育成施策へ投資しています。

当社の人材育成における枠組みとなる「博報堂テクノロジーズアカデミー」は、社員の主体性・モチベーションを能力研鑽・スキルアップの大切な考えとして捉えているのが特徴で、社員自身が自らに必要なスキルアップの方法を考え、実行するサポートをすることに力点を置いています。

たとえばPLP(パーソナライズド・ラーニング・プログラム)というプログラムでは、各組織に人材育成予算を配布しており、社員が上長・組織長の承認さえ得られ、人材育成に関わるものであれば、好きな用途にその費用を使えます。外部のセミナーや海外の学会への参加、チームビルディングのための合宿費用などに使われるケースも多く、社員からも好評です。

(参考:博報堂テクノロジーズアカデミーが実施したデザインシンキング研修実施レポート

ありがとうございます。最後に候補者にメッセージをお願いします!

博報堂テクノロジーズにフィットするのは、スピード感と変化を楽しみながら、自律的に働ける人。当社はまだ設立して日が浅く、今後も速いスピードで変化し続けていくはずなので、そうした環境を楽しみ、自分で考えて動ける人が活躍できると思います。

プロフェッショナルとして専門性を持ち、その専門性を活かしてチームに貢献する意欲のある人と共に、多くの魅力的な人材から選ばれる企業を作っていきたいですね。

※ 記載内容は2024年5月時点のものです

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