博報堂DYグループ横断のデータマネジメントの仕組みづくりや、基盤の開発、運用に取り組んでいるデータマネジメントセンター。前回は手塚 圭一執行役員兼センター長に、ご自身のキャリアやこれまでの挑戦と、データマネジメントセンターとしての取り組みについて話を伺いました。
後編では、データマネジメントセンターの2つの開発部署が担う役割と今後の挑戦、仕事の魅力についてお伝えします。
データの収集、管理、加工、デリバリーの高度化に取り組む3つの部署
データマネジメントセンター内の3つの部署はそれぞれどのようなミッションを担っていますか?
1つめのデータマネジメント部は、博報堂DYグループのすべての役職員が、ストレスなくデータを利活用できる世界の実現をミッションにしています。関係部門の協力を得ながら、散在する博報堂DYグループのデータ基盤をアップデートし、データ管理と使いやすさの両立をめざしています。
2つめはSoR開発部です。プラニング、受発注、進行管理、入稿、運用、レポーティング、計上など、デジタル広告の取引や運用に必要なあらゆるデータを効率よく登録、収集、分析、連携するためのシステムを開発しています。SoR開発部がもっとも人数が多く、約30名で4つのデジタル広告支援ソリューションを展開しています。
3つめのDMP開発部は、博報堂DYグループが提供する「AudienceOne®」というデータマネジメントプラットフォーム(DMP)を開発、運用しています。生活者のデジタル上の行動履歴をトラッキングし、データを整理して、デモグラフィックや興味関心の推計をする役割を担っています。「AudienceOne®」は国内最大級のDMPで、約4.8億のユニークブラウザから収集した2兆レコードを超える大規模なデータを扱っているのが特徴です。
▲データマネジメントセンターの役割
新しい時代の到来に向けて、挑戦をはじめる開発部
SoR開発部とDMP開発部の開発体制について教えてください。
開発体制としては、いわゆる一般的な開発チームの形を取っています。プロダクトマネージャーのもと、バックエンド、フロントエンドのアプリケーションエンジニアが開発を進めています。データを扱う部署なので、データエンジニアもいます。
SoR開発部が提供するシステムは、博報堂DYグループが出稿するすべてのプラットフォーマーとAPI連携して広告配信結果を受け取っています。このAPIは長くて半年に一度、短い時には四半期に一度アップデートがあるため、常時メンテナンスが必要です。そのため、一部オフショアの開発チームにも入ってもらい、効率化を図っています。
ここ数年話題となっている3rdパーティクッキー規制は「AudienceOne®」に大きな影響があると思いますが、DMP開発部はどのようなアプローチを取ってきましたか?
3rdパーティクッキーが廃止されるという話が出てきた時に、これまでも利用してきたデバイスIDと併せて、企業が収集・保有する1stパーティデータを活用できないかと模索し始めました。結果的にデータ基盤を強くすることに成功し、3rdパーティクッキーのみに依存しない独自のIDソリューションを提供できるようになってきています。メンバーはできる限りの挑戦を重ねながら、さまざまな代替策を模索し、本当によく頑張ってきてくれたと思います。
▲統合IDの活用イメージ
ここ数年、3rdパーティクッキーが廃止されるのか残るのかはっきりしない中で暗中模索を続け、プロダクトとして成長させることが難しい状況でした。ところが、今年に入って3rdパーティクッキーがこの先も残ることがある程度確定し、今後のID体系が見えてきたため、生活者データプラットフォームとしての次のあり方を考えて、プロダクトをリボーンさせるタイミングが来ています。
まさに新しい挑戦が始まるタイミングということですね。SoR開発部にはこれからどんなチャレンジが待っていますか?
SoR開発部はミッションクリティカルなシステムを扱っていて規模も大きいので、丁寧かつ着実に進めなければならないことが多い部署です。ただ、DACとアイレップを中心に博報堂DYグループのデジタルマーケティング事業を集約するHakuhodo DY ONEが今年新しく発足したため、デジタルマーケティングの推進をサポートするためにやらなくてはいけないことが、これからたくさん出てくると思っています。
データを扱うテクノロジー人材にも浸透する「生活者発想」
テクノロジー人材にとって、広告業界、ひいては博報堂DYグループで働くおもしろさはどんなところにあると思いますか?
意外に思われるかもしれませんが、私は広告業界を技術者にとって挑戦しがいのあるフィールドだと捉えています。生活者にとって価値のある広告を届けるために、最先端のテクノロジーを使ってできることは幅が広く、今後もさらなる進化が見込めるからです。先程触れたDMP開発部のクッキー規制への対応もそういった挑戦のひとつです。
加えて、博報堂DYグループには生活者発想というグループポリシーがあり、文化として根付いています。常に生活者がどんなことを考えてどんな生活をしているかということに思いを馳せている人たちが周りにいると、自分たちも自然とデータに対して、このデータからどんなインサイトから導き出せるだろうかという視点を持つようなります。アプリケーションの開発やデータの管理においても、生活者発想という確固たる考え方を持って取り組めるというのは、ほかにはない魅力ではないでしょうか。
そもそも広告会社が自社で作ったDMPを持っているという事自体が珍しいのですが、それも生活者発想を体現していると思っています。生活者発想には、生活者のタッチポイントを上手に作ることが求められます。デジタルにおいては広告配信をする面がタッチポイントになりますが、このタッチポイントを強化するために、博報堂DYグループではDMPを内製しています。
データマネジメントセンターの仕事の魅力を教えてください。
私たちが扱っているデータは、機械や部品のデータではなく、生活者の意識や行動、購買の結果で、人に関するデータです。それしかないと言ってしまえばそうなのですが、人にフォーカスしたデータがここまで蓄積されているところはほかにあまりないと思います。
長期的な視点を持ってトライし続ける
データマネジメントセンターのメンバーはどんな方が多いですか?
3つの部署でやっていることの性質が違うこともあり、カラーがまったく異なります。DMP開発部はプロダクト愛が強く、チャレンジ精神の豊富なメンバーが多いですね。SoR開発部はシステムが大きく、正確さが求められるので、きっちり丁寧に仕事に取り組んでいっている印象です。データマネジメント部は他部署との連携が欠かせない横断部署なので、コミュニケーションが活発な方が多いなと感じています。
データマネジメントセンター自体がまだ新しく、今後この3部署でどのようなシナジーが生まれるのか、見えていない部分が多いのが現状ですが、それぞれ異なるベクトルでミッションに向き合っているので、無理にひとつにまとめていく必要はないと考えています。
最後に、どのような方にデータマネジメントセンターに加わっていただきたいですか?
どの部署も会社の事業を支えるプロダクトやサービスを提供しているので、1~2年で理解してやりきれるという性質の仕事ではありません。ですから、博報堂DYグループのデータのバリューチェーンをしっかりと理解し、長期的な視点を持って腰を据えて仕事に取り組んでいただける方に加わっていただきたいです。
私は基本的に新しい試みを歓迎しています。それは、私自身がDACでさまざまなチャレンジを許容してもらってきたからです。自分が何かをやる、という意思表明はその人にとって重いものだと思います。勇気を持って挑戦し、コミットメント高く取り組むことで大きく成長もできるので、一緒に新しいチャレンジをしていきましょう。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです
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