新しい技術にキャッチアップし続けられる環境を求めて博報堂DYグループへ
プロダクト開発センターSRE部に所属する永尾。前職はSIerで、自社開発担当としてプロジェクト管理ツールの開発に従事していました。
「ソフトウェア開発を担当し、フロントエンドではTypeScriptを、バックエンドではC#を使っていました。 データベースはSQL Serverサーバーです。フロントエンド、バックエンド、サーバー領域をすべてひとりでまかなっていました」
永尾がキャリア初期から幅広い経験を積んでこられたのは、学生時代からの実績があったからでした。
「大学ではコンピュータ理工学科に通っていました。在学中にはベンチャー企業でアルバイトをしたり、出版社から仕事を受けたりしていたことも。1社目では入社後の研修も同期より短期間で終了し、すぐにプロジェクトにアサインされました」
前職では中途採用された社員のような立ち位置で即戦力として活躍していた永尾。転機が訪れたのは、キャリアがスタートして数年後のことでした。
「会社の方針として、新しい技術に積極的に取り組むよりも、既存の技術を重視していくことが決まったのです。私自身は新しいことに積極的にチャレンジしたいと考えていたので、転職を決意。
ポートフォリオやGitHubを公開できるサイトに掲載していたところ、複数社から声をかけていただきました。その中から私が選んだのが、株式会社アイレップ(以下、アイレップ)。新しい技術を積極的にキャッチアップしていこうとする姿勢を明確にしていたことが理由です」
2020年にアイレップに入社した永尾。入社後は、データ基盤の担当に配属されます。
「アイレップではデータの取得や加工などを担当しました。広告業界が扱うデータ量は膨大です。それまで見たことのない桁数のデータに圧倒されましたが、新しい業務におもしろさを感じながら取り組んでいました」
半年ほどデータ基盤周りの業務に従事した後、永尾はSREグループ設立と同時に異動することに。実はこれは入社前から決まっていたことでした。
「『ゆくゆくSREの組織をつくるから、そこでマネジメントをしてほしい』と頼まれていました。私に白羽の矢が立ったのは、SREに求められる幅広い知識をある程度持ち合わせていると評価していただいたからだと思います。
実際、それまでの半年間にデータ基盤の業務を担当してデータ基盤の仕組みを理解できていたので、SREに異動した後も『こんなデータがほしい』といった要求を適切に出せるようになっていました。
一方、新しく学ぶべきことも多く、それまで触れたことのなかったAWSなどについては異動後に知識を深めています」
SREの成功の鍵を握るのは、開発エンジニアとの信頼関係の構築
博報堂テクノロジーズがSREに取り組み始めたのは、「Googleが提唱するシステムの運用方法や管理方法に則って開発を進めるべき」との指針に倣ってのこと。「プロダクトの開発体験と運用体験を向上させ、システムの信頼性と可用性を最大化する」をミッションに業務に励んでいます。
「『こうした手法で開発を進めてもらいたい』『基準に合わせるために、このように改善してほしい』と私たちがどれほど提言しても、開発側に『その必要はない』と判断されれば、SREとしての役目を果たすことができません。SREの重要性を開発側に浸透させ、私たちのアドバイスに耳を傾けてもらおうと奮闘している最中です」
SREが対象とするのは、博報堂テクノロジーズのプロダクト開発センターが開発するプロダクトすべて。業務は広範囲にわたります。
「アプリケーションを測定する仕組みをつくり、めざすべき表示速度などをアプリケーション開発側と協議して決定。その上で、その基準を満たすためにはどんな改善をすべきかを話し合い、プロダクトの信頼性を高めるための改善に取りかかってもらっています」
また永尾は、テレビCMの効果を可視化する分析プラットフォーム「x2(DOUBLE SCORE)supported by TV AaaS 」と、複数媒体の多様な広告をAIを用いて一元管理する広告運用ツール「Advertising Flow」のSREに専任担当として携わっています。
「x2は、テレビCMの放映時間帯と自社サイトの流入数をグラフ化し、広告枠ごとの成果の分析を行えるツール。一方、Advertising Flowは広告を出稿する際に、AIが自動で分析して投下すべき予算を決定し、自動で運用してくれるツールです。
Advertising Flowでは、これまで広告運用で担当者が自ら情報収集し、予算を調整していた部分をAIが代わりに行います。大きな工数削減につながる有用なプロダクトだと感じています」
開発者の考えを尊重しながら、プロダクトの信頼性をより高めるために。永尾はコミュニケーションに細心の注意を払ってきました。
「一方的に計測して改善依頼するのではなく、開発側との密な連携やコミュニケーションを取ることをとても大切にしています。また、開発者はつくることをゴールだと捉えがちですが、リリース後のほうが期間的に長くなるのが一般的です。長く信頼され愛されるプロダクトにするために提言すべきこともあると考えています。
ときには、リリースを急ぐ開発側に対して、『それでは信頼性が落ちてしまう』と制するケースも。開発側にとって厳しい提言をしなければならない立場だからこそ、信頼関係を構築する必要性を感じています」
難しいポジションを担う永尾ですが、そこにおもしろさも見出していると話します。
「楽しくなければ仕事は続かないし、自ら勉強しようとも思わないものです。私にとっての楽しみは、さまざまな知識に触れること。幅広い知識をもとにアドバイスし改善を促すのがSREの役割なので、やりがいを感じながら取り組めています」
多様なバックグラウンドを持つメンバーが専門性を発揮しながら活躍
自らプレイヤーも務めつつ、SREチームのマネジメントにも携わっている永尾。現在、チームにはベトナム人のメンバーが2名、日本人のベテランエンジニアが1名、新卒3年目のメンバー1名が所属しています。
「ベトナム人メンバーの2名は実用的な技術知識に長けており、ベテランエンジニアの方はAIに強みを持っています。一方、新卒3年目の若手メンバーはAWSのプロフェッショナル資格を保有し、インフラ関連が得意領域です。
それぞれが異なる専門性を持ちつつ、共通のミッションに向かっているのが当チームの特徴。SREチームは博報堂テクノロジーズの中でもとりわけ多様性に富む組織だと思います」
また現在、永尾はアイレップから博報堂テクノロジーズへ出向中ですが、SREチームの部長もAIを中心としたテクノロジーに強みを持つnegocia株式会社からの出向者。さまざまな組織のカラーが融合していることもSREチームの魅力です。
「それぞれの組織の良さを取り入れつつ、安定した基盤を背景にアクティブにチャレンジする文化があるのを実感しています。開発体制はアジャイルを採用し、短いスパンでさまざまなことに取り組んでいますが、その姿勢は開発以外の面にも浸透しています。
裁量労働制適応者の場合、 始業時間は個人の裁量に応じてある程度自由に設定できて、育児休暇の取得や、子どもの保育園のお迎え時間に合わせた業務調整も可能です。とても働きやすい環境があると感じます」
SREの重要性が開発現場の共通認識となることをめざして
柔軟な組織風土が博報堂テクノロジーズの魅力。いま求めるのは、現状維持には決して満足しない仲間です。
「広告業界なので広告に興味を持っていてほしいのはもちろんですが、言われたことをただこなすことに満足せず、自分から積極的に提案しチャレンジしたいと思っている方にふさわしい環境です。
オフィスでは社長をはじめ役員陣がいつも私たちのすぐそばで仕事をしていて、『これをやってみたいです』と直談判することもできます。投資が必要なケースでも、それに見合ったリターンが期待できると判断されれば挑戦を後押ししてもらえるのも当社ならではです」
また、新しいスタンダードを構築できる可能性があるのも同社の魅力。永尾はこう続けます。
「私たち博報堂DYグループはテレビCMや新聞広告を主戦場としてきましたが、大手広告会社もインターネット広告の領域でさまざまなチャレンジをしていく必要があります。求められているのは、革新的なことに取り組み、前例のないことに挑戦する姿勢です。これから入社する新しいメンバーが、新しい広告サービスをつくり上げていく可能性も十分にあると思っています」
一方、今後は社内におけるSREチームの認知度や影響力も高めていきたいと話す永尾。
「『リリースがゴールではない』という認識を開発組織全体に広げ、SREの重要性を認識しながら開発に臨んでいただけるよう啓蒙していきたいです。そしてゆくゆくは、プロダクト開発センターという組織の枠を超え、さまざまな企業のお客様に対してSREを提供できるような、影響力のある存在になっていきたいと考えています。
広告やマーケティングの業界は、テクノロジーのトレンドの移り変わりが速いのが特徴です。多方面の技術や知識を身につけ、SRE業務を通したプロダクトの信頼性向上に役立てていけたらと思っています」
「知る」ことに喜びを感じ、「楽しむこと」をモチベーションに。永尾はこれからもSREの普及と発展に注力し続けます。
※ 記載内容は2023年11月時点のものです
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