新しい技術を支えるインフラ。サービスの安定運用に欠かせない、その魅力に惹かれて
七戸が所属するマネジメントセンターのインフラ開発2部。おもにインフラの運用に関する全般的な業務を担っています。
「博報堂テクノロジーズやデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(以下、DAC)のサービス、ソリューションの提供に関するインフラの設計から開発運用までを担っています。加えて、ITガバナンスなどにも取り組み、インフラやセキュリティ関連での使用権限や統制のためのルールを策定しています」
とくにインフラ関連で近年、課題となっているのがコストマネジメント。
「パブリッククラウドは適切な使い方をするとコストを抑えて運用できるため、効率化したり、不要なものを停止したり。あるいは新しいサービスに置き換えることでコスト削減を図っています。
また、IaC(Infrastructure as Code)の推進によって、人的コストの削減にも注力。従来のインフラの作成や修正においては、かなりの工数がかかっていますが、それをIaCによってコード化することでインフラ構築を自動化。工数の削減につなげています」
もともと大学ではコンピュータサイエンスを専攻した七戸。当時から、インフラ開発を志望していました。
「サービス開発などは、新しい技術がつぎつぎと登場し注目を集めていますが、一方でその新しい技術を支えるのがインフラです。縁の下の力持ちであり、サービスの安定運用に不可欠な存在。どんなシステムにも必ず使われるインフラに私は興味を持ちました」
インフラに対する想いから、大学卒業後は、2社で経験を積んできました。
最初の就職先は、大手通信インフラ企業。コールセンターの開設やデータセンターの設計などのIT事務を担当しました。もっと現場でインフラに関わる仕事をしたいという想いから、つぎに選んだのはシステムソリューション全般を扱う会社でした。
「SESとしておもに金融関連のインフラ開発に携わりました。金融機関のシステムは安定した技術や実績のある技術を使うのが通例。過去から運用されてきた古い技術を使用し続けることが多く、しだいに新しい技術に挑戦したいと思うように。そのなかで目にとまったのがDACでした」
DACに惹かれた理由を七戸はこう語ります。
「DACは大規模なデータを扱い、かつリリースの速度が早いことが私にとって最大の魅力。AudienceOne®という国内最大級のデータ・マネジメント・プラットフォームを持っていますし、大きなサービスを扱いつつ、マイクロサービス的なもののインフラも挑戦できる環境だと考え、入社を決めました」
新しい技術の動向をキャッチアップしていくことにも、おもしろさや学びがある
現在、博報堂テクノロジーズのインフラ開発2部の業務を兼務する七戸。さまざまな部署から業務の依頼がきます。とくに社内の開発チームと連携し仕事を進めていく上では、密なコミュニケーションが欠かせません。
「新しいクラウド関連のサービスがつぎつぎとリリースされるので、従来使用していたものより新しくした方がよい場合が多々あります。開発チームの運用のしやすさなども考慮しつつ、対面で話し合ったり、Slackなどのチャットツールを活用したりして内容を詰めていきます
とくに扱うデータ量が多いと、その分コストがかかります。サービスを滞りなく提供する機能に足るインフラかどうか。そこを考えることが重要で、より効果的な提案をしていきます。そして、設計構築の時点から実際にサービスをローンチ後にどのように運用していくのか、運用までしっかり考えて設計します」
今ではインフラ開発の中核的な存在として活躍する七戸ですが、博報堂テクノロジーズでの兼務を始めた当初に驚きを感じたことがあります。
「インフラに関しては開発をすべて担当すると思っていたのですが、実際は開発の人がインフラを扱うこともありますし、新しくサービスを作るときは、こういったインフラ構成でやりたいと開発の人が考えてくることも。みなさん新しいサービスに興味津々ですし、アンテナの高い人が多いのが印象的です」
つぎつぎとリリースされる新しいサービスをキャッチアップしていくことにも、おもしろさや学びがあります。
「クラウドに関しては月単位で頻繁にアップデートがありますし、年単位で大きな刷新があります。そういった新しい動向を追っていくのはスキルアップになるのはもちろん、モダンなアーキテクチャを使えば使うほどサービスの品質や開発の効率性がアップします。そんな部分にもこの仕事のおもしろさを感じますね」
進展著しい世界に身を置く七戸。そのやりがいをこう語ります。
「新規のソリューションを作り、それがローンチに至ったときはすごくやりがいを覚えます。開発チームの人たちと共同でひとつのサービスを作り上げ、またそのサービスの裏では、自分が設計構築に関わったインフラが安定的な運用に寄与していると思うと、インフラ開発に携わる達成感もあります」
粒違いの多様性、風通しのよさが、新しい考えを生み、開発スピードを加速させる
所属する部署には12名ほどが在籍し、そのなかで七戸はチームリーダーとして、現在、後進の育成に注力しています。
「中途採用者は、前職でインフラ関係に関わる仕事をしてきた人たちですが、新卒の場合は大学でコンピュータを専攻していても、インフラをメインで学んでいたわけではありません。サーバーとは、ネットワークとは、という基礎的なところから教えています」
社内の多くの人々と関わってきた七戸。そのなかであらためて感じたのが博報堂テクノロジーズのメンバーの多様性と風通しの良さ。
「いろんなバックグラウンドを持つ人が、インフラチームにも開発チームにも所属しています。しかも、コミュニケーション能力が高い人が多く、風通しのよい環境が整っています。
そんな雰囲気とも関係していると思うのですが、誰もが新しいものに挑戦する意欲を持っています。クラウドベンダー各社からプレスリリースがあると、さっそく使ってみたという声も聞きます。また、過去の経験でよかったところはオープンにして、新たに情報提供してくれるので、そうした成果をソリューションの開発に使うことができます。
新しいサービスに付き物のトラブルを恐れるのでなく、リスクを考えるよりもまずやってみようという雰囲気は本当に刺激的です」
また、博報堂テクノロジーズならではのスピード感も七戸にとって新鮮でした。
「前職では、数カ月あるいは数年のスパンで仕事を進めるのが普通でした。ところが博報堂テクノロジーズでは、それこそ1カ月単位で新しいサービスがローンチされるなど、スピード感のギャップに最初は驚きましたね。決定までがスピーディーですし、みんなで走りながら考えるようなこともあります。今にして思えば、これは全社的な共通認識なんですね」
そしてこの驚きは、今も続いていると言います。
「みんな、良いものは良い、悪いものは悪いと率直に言ってくれ、それを周りも排除することなく、いったん受け入れるところは素晴らしいですね。技術的な話をしていても、そういう考え方もあるのかと驚かされることがよくありますし、部内で議論をしていくなかで、どんどん新しい考え方が生まれてきます。
また、開発サイド以外の運用や営業に携わる人の意見にハッとさせられることもあったりして、まさに目から鱗。おかげで、目的・ゴールに向かっていろんな道筋が描け、最適解を得やすいのも大きなメリットだと感じています」
インフラの知見を広めていきたい。今後はガバナンスや効率化に注力
博報堂テクノロジーズならではの仕事の進めやすさは、今後の展望にも大いにつながっていると言います。
「ゆくゆくは、インフラの部分は開発チームに移譲して、我々はガバナンスや効率化などに注力できるようにしていきたいですね。そのために現在、開発チームの人たちでインフラを運用できるように、インフラの知見を開発チームと共有することはもちろん、コード化することでインフラを扱いやすくして敷居を下げるような動きもしています」
インフラ開発について、さまざまな構想を抱く七戸。今後一緒に働いてくれる人に求めるものを端的に語ります。
「他人の意見を簡単に捨てない人です。周りの人の意見をどんどんすくい上げるスタンスが必要だと思っています。そして、我々のやっていることの良いところは良いと言ってくれ、ダメなところはなぜダメなのかはっきり言ってくれる人がメンバーに加わってくれれば心強いですね」
最後に、インフラ開発の仕事の魅力、醍醐味をこう語ります。
「縁の下の力持ちとして、いろんなサービスが安定して動くための基盤を作れるのがインフラ開発の魅力。とくに博報堂テクノロジーズは非常に大きなデータを扱っており、それをたくさんの会社が利用しています。ある意味、社会貢献につながると思うと、いっそうやりがいを感じます」
なかでも最近、大きな達成感を得られたものに「データクリーンルーム」という新サービスに関する業務があります。
「『データクリーンルーム』は厳格な管理下でデータの共有・分析を行うセーフスペースです。データを扱う人の制限であったり、特定のクライアントにだけデータを提供したりするなど、データの使用を厳しく制限。あるデータの一部はお客様には触れるけれど、我々には触れない、あるプロセスを経ないとアクセスできない、といったことができます。
インフラ設計の時点でかなり苦労しましたが、これまでにない価値を生みだしていく、新たな側面を意識させられました。やはり公開されたときは感無量でしたね」
情報社会を揺るぎないものとして影で支えるインフラ開発。すべてのソリューションを支える屋台骨の存在を、今後は技術ブログなどでアピールしていきたいという七戸。インフラ開発を通じて、新たな価値を支えていく。その挑戦は大きな可能性を秘めています。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです