【社内イベントレポート】「2023_ハッカソン_LangChain」開催Chat GPTとLangChainに向き合う2日間
【社内イベントレポート】「2023_ハッカソン_LangChain」開催──Chat GPTとLangChainに向き合う2日間

「ChatGPT+LangChain」をテーマに、エンジニアリング能力を拡張

プロダクト開発センターの恵比寿ガーデンプレイスオフィスで2日間にわたり開催された「2023_ハッカソン_LangChain」。運営を担当した深野 安摩音は、開催の背景と狙いを次のように語ります。

深野:博報堂DYグループであるアイレップで、昨年ハッカソンが開催されたことがきっかけでした。博報堂テクノロジーズのプロダクト開発センターには、アイレップからの出向者が複数名在籍しています。アイレップの取締役CTOであり博報堂テクノロジーズの執行役員でもある柴山が旗振り役となり、プロダクト開発センターを対象にしたハッカソンを企画。

今話題の「ChatGPT+LangChain」をテーマに、プロンプトエンジニアリングを用いて新しいアイデアを考え、実務に活かせる技術を育成することを狙いとして開催されました。

アイレップ在籍時にハッカソンに参加したことがある臼井 淳平。「2023_ハッカソン_LangChain」の開催を知り、すぐに参加を決めたと話します。

臼井:エントリーは個人でもチームでも可能ということだったので、同期を誘ってチームで参加しようと考えました。仲の良い同期メンバー全員で、一緒に何かをつくってみたいという強い想いがありました。

それに、ChatGPTは今世界的に注目されているサービスです。ChatGPTとLangChainを使った開発にはこれまでも取り組んだことがありましたが、その経験を活かしてさらにスキルの幅を広げたいと思い、参加を決めました。

そして臼井は、同期メンバーに参加を呼びかけます。業務を優先したいと参加をためらうメンバーもいた中で、すぐに快諾したのが鏡川 悠介でした。

鏡川:入社後に新入社員で開発研修を受ける機会があったのですが、そのときに臼井とは一緒に開発することができませんでした。臼井が言うとおり、同期メンバー全員で集まって開発できるのは、なかなかないチャンスだと思ったんですね。もちろんエンジニアとしてChatGPTの開発に対する強い関心があったというのも大きな理由です。

それに自分が開発を担当しているプロダクトのマネージャーも参加を表明していたので、自分もこの機会を活かしてぜひ新しい開発スキルを身につけたいと考えました。

運営も参加も自分主体で。自由度の高いイベントだからこそのおもしろさ

「2023_ハッカソン_LangChain」は有志が集まって開催される社内イベント。そのため運営担当が参加することも、参加者が運営に携わることも可能です。深野、臼井、鏡川の3人は、運営と参加の両方を担当。1カ月という短い期間の中、それぞれ協力して準備を進めていきました。

深野:ChatGPTが注目を集めている時機を逃さないようにしようと、開催が決まってからは急ピッチで準備が進められました。参加条件として決められたのは、プロンプトエンジニアに関する一定以上の知識を有することですが、プロダクト開発センターに所属する全員がChatGPTを使った開発経験があるわけではありません。そのため、最低限必要となる知識をフォローするための事前資料を用意することにしました。

鏡川:私はその事前資料の作成を担当したのですが、資料をつくる過程を通じて、ChatGPTやLangChainに対する理解を深めることができました。そして資料づくりと並行して、イベント当日に向けてアイデア探しにも注力。それこそChatGPTに「ハッカソンでこういうテーマに取り組むがいいアイデアがないか」と質問を投げかけてみたこともあります(笑)。

残念ながらそのときに提示されたアイデアは使えなかったのですが、そうやっていろいろな観点から発想を広げてはメモを取り、企画のヒントを集めていました。

臼井:私は業務を優先したいと言っていた他の同期メンバーたちを、「この機会を逃したら二度と同期メンバーで一緒に開発できないかもしれない」と必死で説得。なんとか同期5人全員での参加を実現することに成功しました(笑)。

ChatGPTとLangChainでの開発経験はあったので、提供された事前資料をしっかりと読み込む以外は、それほど準備はしませんでした。同期メンバーとは日ごろからよくご飯に行くなど、コミュニケーションが密に取れています。ですので、当日の臨場感を大切にしながら、それぞれの得意分野を活かそうと考えたんです。

それにアイレップ在籍時にハッカソンの参加経験もあったので、ある程度余裕を持って臨むことができました。

オフラインで議論を交わし合った2日間

そして迎えた開催当日。準備に追われていた深野は、会場の様子を安堵の気持ちで見つめていました。

深野:オフラインでの開催だったので、会場準備などもありとにかく間に合ってよかったというのが素直な感想です。そして想定していたよりも多く、約20名の参加者が集まったことにもほっとしました。

博報堂テクノロジーズでは出社とリモートワークを併用しているため、オフラインで一堂に会する機会は貴重です。プロダクト開発センターのメンバーが顔を合わせて議論しながら、一緒に開発する光景を見るのも感慨深いものがありました。

ハッカソンへの参加経験もあり、余裕を持って当日に臨んだ臼井。ところが競技を進めるうち、予想外の事態に直面します。

臼井:私たちのチームが考案したのは、社員同士をつなぐマッチングサービスの開発でした。自分の趣味や経歴を入力して自己紹介ページを作成すると、その内容と近い社員をマッチングしてくれるというアプリケーションです。

最初はマッチングした社員を再現して、あたかもその人と会話しているような体験ができるというサービスの開発をめざしていました。ところが一向に開発が思うように進まなくて……。そうこうしているうちに参加1日目が終了。そこでみんなで協議し、2日目に思い切ってそのアイデアを捨てることを決めました。

鏡川:マッチングした人同士の会話をシミュレートするプロンプトを可能な限り試したので、これ以上やっても無理だと思いました。ですので、1日目に考え続けたアイデアを捨てることに、チームの誰も異論はなかったですね。残り1日という限られた時間でどこまでなら実現できるか。

それを慎重に検討した結果、マッチングした社員と会社で会ったときに、コミュニケーションが広がりそうな話題を提案してくれるというサービスへ変更することに決定。開発のスコープをうまく調整することで、なんとか時間内で形にすることができました。

こうして急遽内容を変更し、プレゼンテーションに臨んだ臼井・鏡川の同期チーム。その成果物は、審査で高い評価を獲得し、見事に優勝を果たしました。

臼井:広告配信した成果を分析するアイデアを提案した深野のチームをはじめ、他のチームの提案は実用性があって優れているものばかり。そのため、優勝のアナウンスを聞いたときは正直とても驚きました。自分がメンバーを誘った手前、満足のいく結果が出せてとてもうれしかったです。同期メンバー全員での開発が実現できただけでなく、その成果が高く評価され、本当に良い思い出になりました。

ChatGPTはまだ万能ではない。ハッカソンを通じて得られた多くの気づき

こうして2日間にわたり開催された「2023_ハッカソン_LangChain」は、盛況のうちに終了。イベントに参加したことで、3人はそれぞれ新たな気づきや学びが得られたと語ります。

臼井:これまでは世間で騒がれているとおり、ChatGPTを使えばなんでも実現できるというイメージを持っていました。しかし1日目でアイデアの変更を迫られたように、いざ自分たちがやってみたいことを試そうとすると、なかなか思い通りに開発できないことがわかったんです。ChatGPTは万能じゃない。それが今回の参加を通じて得た一番の気づきでした。

鏡川:それは私も同感です。実際にプロンプトを試したことで、ChatGPTでやりたいことを実現するのは意外と難しいのだとわかりました。ただ、難しいながらも2日間あればある程度形にできるのだということも、今回のイベントを通して学んだことです。

また、ChatGPTという1つのテーマだけで見ても、各チームから出てくるアイデアは本当にさまざま。まだまだChatGPTで実現できることはたくさんあり、自分たちが開発できる可能性は大きいと感じました。

深野:私の場合は個人でエントリーしたのですが、当日ランダムに組まれたチームでのアイデアソン、ハッカソンは、とても刺激的でした。メンバーはこれまで仕事で関わったことがない人ばかり。その日に「はじめまして」と挨拶を交わした人もいたほどです。

知らないもの同士だからこそ、普段はどういう開発に携わっているのか情報交換ができましたし、それぞれの仕事の進め方などから実務に活かせそうな学びがたくさんありました。

優勝を経験した臼井と鏡川は、ハッカソンを通じて身につけたスキルを実務にも活かしていきたいと話します。

臼井:今回の開発で、要素をベクトル化するEmbeddingという手法に初めて挑戦しました。その実装を経験したことで、ChatGPTやLangChainの開発に活かせるスキルを新たに習得することができ、エンジニアとして手持ちのカードが一つ増えたと感じています。

そして、徹底的に試して無理だと思ったら、大胆に方針転換する勇気を持つこと。それも今回学んだので、今後の開発においても必要な場面で活かしていきたいです。

鏡川:博報堂テクノロジーズでは300名規模のプロンプトエンジニアリング体制の構築に向けて「ChatGPTソリューション開発推進室」を発足し、プロンプトエンジニアの育成を開始しました。それに伴い、教育プログラムを受講しているのですが、そこで学んだ知識が今回のハッカソンでとても役に立ちました。知識は学ぶだけでなく実践で使うことで身になると実感したので、今後も実際の開発において、覚えたスキルを積極的に活用していきたいと思います。

自社初開催となった今回のハッカソン。参加者へ行ったアンケートの回答から、イベントの手ごたえをあらためて感じたと深野は話します。

深野:新しい開発技術を学ぶことができ、日常の業務ではできない経験ができたなど、アンケート結果からイベントの満足度がとても高かったことがわかりました。また、参加者全体の感想として挙げられていたのが、先ほど2人も言っていたように、ChatGPTは思っていたほど万能ではなかったということです。それを理解したからこそ、これから実際にどうやって使っていくのか。それを考える良い機会になったという声も多く寄せられていました。

今回の声を踏まえて、今後も定期的に社員が交流し、高め合えるイベントを開催していきたいと考えています。

※ 記載内容は2023年8月時点のものです

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