【メンバー対談】妥協しない議論でサービスを加速するLoCoPiチームの軌跡 | 人と今を伝える採用メディア | HADOH(はどう)

急速なテクノロジーの進展により、産業構造、ビジネス構造、ヒトの役割の再定義が進行している中で、テクノロジー×クリエィティビティの力で新たな「生活者価値創造」を追求し、社会課題解決に取り組んでいるマーケティングDXセンター。

今回は、プロデュース2部の土田さんが、共にマイナンバーカードを活用した公共サービスパス「LoCoPi」のサービス開発をする、明官さん、加藤さん、山梨さんにインタビューをしました。

マイナンバーカードの活用の幅を広げるLoCoPiのサービス開発プロジェクト

土田：本日はよろしくお願いします。まずはみなさん、LoCoPiチームでの役割を教えてください。

明官：私は博報堂の所属で、サービス企画を担当しています。LoCoPiがどんなサービスであるべきかというビジョンを描いて、サービスとして形にしていくのが仕事です。

前職ではITコンサルタントとしてクライアントのシステム開発などに関わっていたのですが、ユーザーにとって価値のあるサービスを追求していきたいと考えて博報堂に入社したので、まさに今やりたかった仕事ができています。私は富山県出身なので、LoCoPiが富山県朝日町からスタートしたことにも縁を感じています。

加藤：私は LoCoPiのtoC向けLINEミニアプリ、toB向けWebアプリ開発のPMとUI/UXデザイナーを兼務しています。明官さんたちのチームから上がってきた機能追加や改修の要望を、どのように実現するかを開発チームと相談して決めていったり、UI/UXデザイナーとしてアプリの画面のデザインや導線設計をしたりしながらプロジェクト全体の推進をしています。

▲LoCoPiのLINEミニアプリ

山梨：私はエンジニアとして、同じく実装に関わっている土田さんと一緒に、自治体の方々に使っていただく管理画面の実装を担当しています。

土田：加藤さんや明官さんたちともかなり密にコミュニケーションを取りながら進めてきましたよね。そもそもLoCoPiの企画はどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

明官：LoCoPiというのはマイナンバーカードを活用したサービスです。全国的にマイナンバーカードの普及率が上がってきている中で、国としてはこれからどのように活用の幅を広げられるかというところが課題となっていました。そこで、生活者発想を掲げる博報堂だからこそ生み出せるマイナンバーカードの付加価値を考えて実現してみようということになり、「LoCoPiあさひまち」という富山県朝日町との取り組みを皮切りに、プロジェクトがスタートしました。

土田：LoCoPiを活用するとどんなことができるのか教えてください。

加藤：町内の施設や交通機関に設置された専用読取機へのタッチやイベント参加など、LoCoPiを使った様々なアクションによってポイントが付与されます。LINEのミニアプリでは、クイズやアンケートなどに参加してポイントを貯めることができるほか、貯まったポイントの確認や利用も可能です。LoCoPiを使えば使うほど町が良くなるという循環を生むことを目指して、私たち開発側からも積極的に機能の提案をしていますね。

2024年1月に最初のリリースをして、実際に使っていただく中で年中行事に合わせた使われ方なども見えてきました。町民のみなさんのフィードバックもいただきながら、だいたい月に一度のペースで改修を重ねているので、今後にもご期待をいただきたいです。

土田：現在朝日町ではどれくらいの方がLoCoPiを使ってくださっているのでしょうか。

明官：朝日町の人口が約1万人なのですが、そのうち約2600人の方に登録され、すでに累計35万回以上ご利用いただいています。朝日町は元々マイナンバーカードの普及率が80%を超えていて、全国平均の約73%と比較してかなり高いということもあって、LoCoPiへの関心も高く、たくさんの方に使っていただけています。

生活者発想に基づくサービス開発の鍵は全体像の共有と妥協なき議論

土田：今回、企画チームと開発チームの一体感をすごく感じているのですが、みなさんメンバー間のコミュニケーションにおいて気をつけていることや感じていることなどがあれば教えていただけますか。

明官：一般的に企画チームだけで考えていると、どうしても絵に描いた餅になってしまい、実際に詳細を詰めてから非現実的だと判明することが少なくありません。一方、我々が進めるサービス開発では、実現性の高い企画やサービス内容の検討を進めていくため、ワンチームで並走することを意識しながらプロジェクトを進行しています。

開発チームに早期から参加いただくことで、実現したい体験に必要な機能についても高い解像度でプロジェクトを進められる環境が整っています。実際、開発チームの皆さんの技術力が高いため、仕様が固まっていないタイミングからでも安心して相談できると実感しています。

加藤：定期的なコミュニケーションの場は週次の定例ミーティングになるのですが、それ以外にチャットでのやり取りも密に行っています。また、リリース前の仕様の認識のすり合わせなどは、まとまった時間を取って膝を突き合わせて詰めていきますね。

それぞれが良いサービスを作っていくんだという強い意思を持っているからこそ、お互いに頭の中で描いていたものにズレがあると、レビューの中で激しい議論になることもあります。あるとき、アプリの画面を60画面ほど作って、明官さんたちに見ていただいたことがありました。60個もあると、妥協する部分が出てきてもおかしくないと思うのですが、ひとつひとつ細かい部分まで疑問や改善案をぶつけてもらって、意図を確認しながらすり合わせをしていきました。そのおかげで、サービスのあるべき形を一緒に作っていることが実感できて、LoCoPiというサービスへの愛着もすごく増しました。

明官：やるからには中途半端なサービスにしたくなくて、体験価値から機能レベルまでどうあるべきかをめちゃくちゃディスカッションしましたよね。利用者が本当に使いたくなるサービスを作ろうと真摯に向き合ってきた結果、良いサービスができてきていると思います。

土田：博報堂ＤＹグループにいると、常に生活者発想という合言葉のもと、良いものを作り上げていこうという熱量をみなさんから感じられますよね。

明官：そうですね。その結果として、我々のようなキャリア入社社員の中にも生活者発想が刷り込まれて、日々意識して仕事ができるようになっていると思います。

山梨：みなさんが熱量を持ってより良いサービスの実現を目指していることが感じられて、私を含む開発チームも同じ熱量で動くことができていると感じます。ただ実装するだけでなく開発チーム内でも色々と意見を出し合って進められているので、刺激を受けながら開発に取り組んでいます。

形にしてみること、現場を見ることの大切さ

土田：LoCoPiの開発にあたってのこだわりや大切にしている考え方などはありますか。

加藤：私はもともとUI/UXデザイナーが主体性を持ってサービス開発に携わることができて、風通しのよいところで仕事がしたいと思って博報堂テクノロジーズに入社しました。実際に入社してみると、会社自体が新しいこともあって風通しが想像以上によいことがわかり、自分基点でどんどん動いていくぞ、と決意ができました。PMとUI/UXデザイナーという二足のわらじポジションを担うにあたって、最初は正解の進め方がわからなかったので、変な言い方ですが自分がやりやすいやり方を確立して、そこに責任感を持って進めていこうと思っていました。

例えば、サービスの企画の段階であまり細かい要件は決まっておらず、実現したいことがひとつ決まっているケースがあるとします。その場合に私は画面ベースで機能の使い方を考えるという方法が得意なので、いつもとりあえず画面に起こしてみることにしています。絵に描いてみることで認識合わせもしやすくなると感じています。

▲ 当初作成したモックアップ

明官：やはり形にならないとイメージできないことがたくさんあるので、加藤さんがすごいスピードで型を作って、これで議論しましょうと提案してくれることで進行が非常にスムーズになっています。

山梨：私が担当しているのは、自治体職員の方々が利用状況やアクション管理を行うためのWebアプリケーションの開発です。利用者にとって使いやすいものを作るということは常に大切にしています。特に今回は加藤さんがPM兼デザイナーということで、UI/UX観点での相談もしやすく、アイデアをいただきながら実装しています。

あとは最初のリリース直後に朝日町を訪問する機会をいただき、実際に使ってもらう場面を見られたことで、自分が町民のみなさんの生活のどんな一場面に関わっているのかをリアルに感じられて、もっとよいサービスをつくっていこうと思えたので、現場を見るということは大切だなと感じています。

▲朝日町での視察

加藤：日町を訪問したときに、リリースから1ヶ月でもう500pt貯めたよという声なども聞くことができて、あぁ本当に使われているんだという実感と嬉しさが湧き上がってきましたね。

土田：明官さんと加藤さんはご入社後最初の「自分が作ったサービス」がLoCoPiなのではないかと思いますが、これまでのお話に加えて印象的だったことはありますか

加藤：現地を訪問したときに、町民の方々が使ってくださっているところを見られたのはもちろん貴重で嬉しい機会だったのですが、加えて、サービス企画チームがお揃いの上着を着て現地で運営側として説明などをしているところを見て、こんな風にサービスを展開しているんだと知ることができたのも良かったです。生活者発想が体現されている場面でした。

明官：まさにそこは意識している部分ですね。使ってくださっている方の声をどんどん聞きにいったり、イベントにもスタッフとして入らせていただいたりすることで、サービスローンチ後もどうしたらもっとよくできるかを考え続けられるのがこのプロジェクトの良いところだと思っています。今度加藤さんも来てください。

加藤：作ったあともユーザーの声を聞いて改善を続けるということをやりたくてサービス開発ができる博報堂テクノロジーズに転職したというのもあるので、ぜひ機会があれば参加させてください。

アイデアを品質高くスピーディに形にしていく力がサービスを加速する

土田：博報堂と博報堂テクノロジーズがこのようなサービスを展開する意味はどこになると思いますか。

明官：近年、私たち博報堂が向き合っているクライアントからいただく相談の内容が、広告領域に留まらず事業部にまで拡張することが多くなってきています。そういった状況の中で、真の事業成長に貢献するためには、広告以外のサービス開発の知見や実績が必要です。

朝日町をはじめとした自治体とサービス開発をし、実装することによって、LoCoPi自体の横展開も可能になりますし、そこで得た知見や実績を持って他のクライアントへのソリューション提供もできるようになると考えています。

加藤：博報堂には企画ができる方がたくさんいますが、これまではそれを実装する開発組織がありませんでした。生活者発想で良いサービスを追求しようとするためには、内製で同じ方向を向いてスピーディーに進めていくことが重要です。それを担うのが私たち博報堂テクノロジーズだと思っています。

山梨：博報堂と博報堂テクノロジーズがワンチームになることで、企画力と技術力を兼ね備えた新しい社会課題解決の形を作っていきたいですよね。

ワンチームで日本を代表するサービスを目指す

土田：朝日町で展開しているサービスをより良くしていくということはもちろんですが、今後はこの「朝日町モデル」を他の自治体への展開も進めることで、サービス開発の立場から、多くの自治体が抱える課題解決に貢献していきたいと考えています。実際に朝日町での取り組みは注目度が高く、視察も活発に行われています。

山梨：LoCoPiにはさらなる進化の余地があると考えています。今後より多くの自治体に導入いただけるよう、我々ならではの生活者発想を基にしたアップデートを重ねていきたいです。

加藤：ユーザーの声を聞き、チームで議論をしながらUXの面でもアップデートを続けていきます。メンバーのスキルアップも図りながらより良いサービスを提供していきたいと思っています。

土田：みなさんありがとうございました。これからもチーム一体となって良いものを作っていくという姿勢は変わらず、色々なところでLoCoPiを目にする機会が増えていくと嬉しいなと私も思っています。